Data Centric Art Galleryのねらい |
Data Centric Art Galleryのねらいは、一言で言えば、ビジネスのデータニーズに、短期間・低コストで対応し、必要なデータを必要な者に必要なタイミングで提供することで、経営者、管理者、担当者がビジネスの役に立つと実感するビジネスシステムを実現することです。
現在のビジンス情報システムでは、データ中心の考え方自体はほとんど理解されていませんが、その外形的システム形態は、データベースとして広く普及しており、データベースを使わないシステムを探す方が困難な状況です。
しかし、残念ながら、データベースを本来の意味でデータベースとして使う事が出来ているシステムは、決して多くはありません。(ほとんど存在しないと言う方が当たっているかも知れません)
Data Centric Art Galleryは、この主な原因を情報部門の管理者や情報技術者の認識不足であると考えています。
なぜなら、世にデータベース設計を教える教育コースやサイトは溢れかえっていますが、データ分析やデータモデリングの技法やテクニックを教えるものが多く、データベースそのものの考え方や意味についての、十分な情報を得られるものが少ないからです。
最悪なのは、従来のシステム開発に関しての問題をあげつらった所で、だからこれを使えばと、データベース製品や特定の技法やツールを解決先として提示するものです。
これらの言説は、本来、データ中心と言う意味でのデータベースの在り方を理解した上で、必要なスキルを以ってデータベースを設計すれば、件の効果を発揮すると言う事(のはず)ですが、何故か、データベースのマネジメントシステム(DBMS)を使う事で短絡的にデータベースの効果を発揮出来ると、(少なくとも現実の技術動向を見ていると)思い込ませる効果があるようです。
そのため、DBMSは使う事になりますが、単に従来のファイル/マスタと言ったものをテーブルなどに置き換えただけになっているので、大きく二つの問題が発生します。
一つは、データベースの設計品質の問題です。
従来からのファイル設計/マスタ設計の考え方や方法で、データベースを設計したのでは、必要なデータ項目の整理や関連の設定が出来ていません。
つまり、造りからして、既にデータベースでは無いと言う事になれば、当然本来の効果を実現出来る訳がありません。
二つ目の問題は、データベースの使い方です。
データベースとは、スコープに唯一つのデータ基盤として、全てのデータを集積します。(物理的にはともかく、概念的には)
と言う事は、処理の方式も、全てのデータをデータベースに登録し、全てのデータはデータベースから、一元的に読み出すものでなければなりません。
そのため、基本的に一切の中間ファイルやローカルマスタなどの存在を(処理の上で必要な場合でも少なくとも、他の目的との共用は)許さない処理方式で無ければなりません。
中間ファイルやローカルマスタが許される環境では、データベースは単に多くのデータ群の一つに過ぎないことになり、当然ながら一元管理の効果は失われてしまいます。
Data Centric Art Galleryのねらいは、データ中心の考え方と技術の普及によって、情報システムのユーザ企業を始め、メーカー、ベンダー、Sier、コンサルタントなどが、これらの基本的な問題を認識し克服する事で、情報システムが本来あるべき情報利用のパフォーマンスを回復することです。
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データ中心指向とシステム開発 |
簡単に言うと、データ中心とは、ビジネスの手順・プロセス・機能などの複雑な要素を抽象化し、対象をデータ構造として捉えると、その把握・理解が容易であると言う考え方です。
それをシステム開発に応用した場合は、ビジネスをデータモデル(ER図)でデータ構造として捉えることで、ビジネスシステムの把握・理解も容易になります。
そもそも、ビジネスシステムは、データを扱うことしか出来ないので、それを要素ごとに整理し、相互の関連が把握されていれば、システム開発を目的としてビジネスを認識するには十分だと言うことです。
また、ビジネスシステムは、ビジネスで発生するデータを記録しておき、ビジネス上の要求に応じて提供するものなので、ビジネスの構成要素単位に、データを記録していけば、無駄や重複が無く合理的なデータ管理が実現します。
そこで、ビジネスの要素とその関連を表現したデータモデルを、データベースの設計に使えば、ビジネス構造にぴったりと合った、合理的データベースが出来ると言う仕掛けです。
つまり、データ中心指向を、システム開発に応用すると、ビジネスの把握・理解を容易にすると同時に、データベースの最適化も出来る(本来、本末転倒ですが、現状から考えると、この様な表現を用いるのが相応しいようです)と言う一石二鳥の効果があると言えます。
ちなみに、データ中心指向でシステム開発することを、データ中心アプローチと呼びます。
本来データ中心アプローチが持つものの内で、データベースの最適化機能は、データベース設計として注目されているようですが、ビジネスの構造を明らかにすることで、いわゆるBPRなど、ビジネス自体の最適化を検討するなど、システム開発の最上流工程でのデータモデル活用は、まだ、あまり一般的ではないようです。
そのため、システム開発の手順を従来のままで進めながら、業務分析を終えた後に、システム設計工程で、収集されたデータ項目や個別のファイルやユーザインターフェース設計を基にデータベース設計を行い、今更意味の無いデータモデルを作成することも多く、データ中心指向やデータモデルを、その本質を理解しないまま敬遠する結果を招いているようです。
新しい機器を導入することで、作業の手順や工程を変えて最適化を図るのと同じように、システム開発に対する思想や姿勢が変われば、それに相応しい工程や手順を考える必要があります。 Data Centric Art Galleryは、データ中心の看板でビジネス情報システムを開発するためには、何をすれば良いのかについても有益な情報をご提供しています。
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データ中心指向の技術と効果 |
実際にデータ中心指向でシステム開発を行った場合には、ビジネスの把握・理解とデータベースの最適化で、データ・機能の重複・冗長性・無駄が排除される結果、従来に比べて70%以上の、システム規模の縮小が実現します。(これは10年以上前に、某コンピュータメーカが調査した結果に基づいていますが、この10数年の間に更に状況は悪化していると考えられます)
また、縮小したシステム規模は、データの一元管理を継続する事で維持され、従来の技法のようにシステム規模が不必要に肥大化する事は無く、情報システムの保守性が維持され、結果的に、システムの再構築を回避する事が出来るので、システムの長寿命化も期待できます。
近頃、仮想化技術が実用化され、サーバーを仮想化して統合する事でサーバーの物理的な台数を削減する合理化が流行っています。
もちろん、その目的はシステムコストの削減なのですが、その中に更に70%を超す無駄を含んでいるとするとITガバナンスの上でも、経営者が見過ごせる事ではありません。
しかし、その実現は、当然ながら、如何にデータモデルが詳細にビジネスを表現しているかに掛って来ます。
ビジネスを詳細に表現したデータモデルを描くためには、詳細な表現力を持つ描画ルールと、ビジネスの構造を把握する分析力が必要となります。
単に、従来、ファイル設計/マスタ設計として行っていた、情報ニーズに対応したレイアウト設計をER図を使って行ったのでは、ファイル設計がデータベース設計に変身する訳ではありません。
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データ中心アプローチの現状 |
現在、ほとんどのビジネスシステム開発では、データベースを使います。
データベースとは「複数の処理目的に共用される、相互に関連付けられた冗長性のないデータの集まり」(と定義されているもの)なので、データベース設計としてのデータモデル作成はポピュラーですが、ビジネスの把握・理解のために、業務分析や業務設計の段階から、データモデルを作成する事はほとんどありません。
そのため、データモデルも、対象となるビジネスで必要な記録を網羅したものでは無く、プロジェクトで作るユーザインターフェースの範囲に限定した、部分的なものに成りがちです。
また、ビジネスのモデルであると言う視点が欠落する場合も多く、単に、ユーザインターフェースの作成に都合の良いデータレイアウト設計をER図で表現している場合すらあります。(ちなみに、その場合の顕著な特長は、エンティティは並んでいても、関連が描かれていません⇒納品されたデータモデルに関連が描かれていない場合は、その理由を確認しましょう⇒因みに「物理設計ですから」などと訳のわからない回答が返って来た場合は、直ちに専門化に相談する必要があるでしょう)
データベースを使うシステム開発は、本来全て、データ中心アプローチなのですが、現状を見ると、データ中心アプローチの看板を掲げたプロジェクトでさえも、データモデルの品質は十分に検証する必要があるようです。
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Data Centric Art Galleryの目的達成手段 |
このサイトでは目的を達成するために、インフォメーションとソリューションを提供しています。
インフォーメーションは、コラム形式を中心に、データ中心と言う考え方を理解して頂くための情報と、技術修得に有用な情報を提供します。
ソリューションは、教育・研修とコンサルティングで、データ中心アプローチを進める各段階ごとに必要な人材育成と作業支援を提供します。
具体的なソリューションの提供については、株式会社エフ・エム・エスのサイトで、製品・ソリューションのページをご覧ください。⇒
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